天神山須藤園について
東京・三鷹・天神山。
まちなかに根付く農家として
東京23区に隣接する東京都三鷹市。井の頭公園や玉川上水、野川や仙川などの自然と共に、市内にはいくつもの農地があります。「天神山須藤園」は戦国時代の城跡が残る天神山で、14代300年以上にわたり土を耕してきました。かつて雑木林だった場所は、多くの人が暮らす住宅地へと姿を変えてきましたが、この地に生きる人々と共に、これからもこの豊かな風景を残していきたい。都市農家として、植木生産農家として、農地の魅力や役割を伝えながら、まちなかに根付き、生きています。
天神山須藤園のしごと
人より長生きする植木を育てることは、後世に残るしごとです。土づくりから樹形を作る剪定、日々の手入れなど、丁寧に、手をかけて、より質の高い植木を目指し育てています。生産した植木の多くは、専門業者に卸され、住宅、街路樹や公園など、暮らしの中で息づく緑になっています。一般向けにはJA東京むさし三鷹緑化センターで直売もしています。畑に実った果実はジャムにして、植木の違った魅力を味わっていただけます。
命をつくる、土づくり
土に根を張り、水分や養分を吸収する植木にとって、土はともて重要です。須藤園は土づくりにもこだわり、近隣大学の馬術部から馬糞をもらい、剪定した枝のチップとよく混ぜ発酵させ、自家製の堆肥を作っています。
苗木は、子どものよう
主に挿木による繁殖をしています。挿木とは、優良な木の枝の一部を切り取って苗床に植え、育てていく方法です。在来種のシラカシやアラカシなど、ドングリを発芽させ実生の状態から育てている植木もあります。
職人技の剪定
適正な量の葉を繁らすことで、風通しをよくしたり、養分を効率よく取り入れたり、病害虫の予防にも効果があります。樹種に応じて剪定の時期や方法があるため、木への負担を最小限にしながら、美しい樹形に整えます。
大事な根回し
木は根の先端から養分を吸収するため、移植時に先端部を失っても枯れないように、事前に根を途中で切って、切断部に細根を発生させます。”物事がうまく進むようあらかじめ働きかける”の意味の「根回し」の語源です。
掘り取りは、丁寧に大胆に
小さいものはスコップで、大きなものは重機を使います。木の周りの土を、根を傷めないよう丁寧に掘り、負担をかけないよう素早く掘り上げます。根鉢から飛び出した根も丁寧に切り、移植先での根付きをよくします。
美しい根巻き姿
植木の根が張っている土を崩さないため、また根を乾燥から守るために行われるのが、根巻きです。木槌でトントンと叩きながら、麻布と麻紐でほつれや緩みのないようにしっかりと均等に巻いていきます。
まちなかに根付く
農家を目指して
人々の暮らしの隣に息づいている都市農業。その価値や役割を伝え、理解し親しんでもらうために、農業の生産者同士はもちろん、商店や、住人の方々とのつながりなど、地域との関わりを意識し、地域の伝統行事の継承や消防団など様々な活動をしています。まちなかに根付いた農家として、人々の日々の営みを豊かにしてくれる都市農業の魅力を、もっともっと広めていきたい。
植木生産農家の明日へ
これまで培ってきた植木生産の技術を活かして、オリーブオイルの生産やオリーブリーフを使った商品開発に取り組みます。2020年秋、オリーブオイル用に厳選した3種類の苗木を110本植えました。食卓に並んだり、レストランで味わったり、東京・三鷹産のオリーブオイルを楽しんでもらうことで「農」を身近に感じてもらい、植木の価値を高めていくことができるように。都市の植木生産農家の可能性を模索し、魅力ある農業を永く続けていくための挑戦です。
東京三鷹天神山オリーブ
東京三鷹天神山オリーブでは、植木生産農家として培った技術を活かし、300年以上受け継がれてきた土地でじっくり、しっかり、手をかけたオリーブで、オリーブオイルやオリーブリーフパウダーなど魅力的な製品をお届けします。東京の農を活かす、その思いを胸にはじまったプロジェクトです。